0776-28-2824 受付時間 9:30~20:00(土日祝対応)

0776-28-2824

受付時間 9:30~20:00(土日祝対応)

メール相談 LINE相談 受給判定
食品製造業における労災事故について
小前田宙
私たちは、事務所として1つのチームになって、依頼者のお話をじっくりお聞きし、的確かつ迅速なリーガルサービスの提供を果たしていきたいと考えております。 依頼者に「ふくい総合法律事務所に来てよかった」、「何かあったらまた相談したい」と言われることを目指しています。

食品製造業(製造・加工)の工場に働くにあたり、怪我をしたり病気をしたりした場合は、労災保険を受けられる可能性があります。

ただし、労災保険では十分な補償を受けられないかもしれません。万が一のために、備えられる補償については知っておくべきです。

ここでは、食品製造業における労災事故について、その要件と労災保険の申請についてご案内します。

仕事中の事故による怪我は労災である

仕事中に発生した怪我や病気は、労災保険によって補償される対象となります。労災保険とは、業務に関連する事故や疾病に対して、労働者が適切な治療や補償を受けられるようにする制度です。

労働者が勤務中に怪我をした場合、その原因が業務に起因していると認められれば、労災保険による給付を受ける権利があります。

また、労働基準法には、企業が従業員に対して「安全配慮義務」を負うことが明記されています。この義務とは、企業が従業員の安全を確保するために必要な措置を講じる責任を持つことを意味します。

例えば、安全な作業環境の提供や労働者に対する適切な教育・指導を行うことが求められます。もし企業がこの義務を怠った場合、労働者が被った損害について法的責任を問われる可能性があります。

つまり、仕事中の事故による怪我は労災保険でカバーされるだけでなく、企業の管理責任も問われることがあるのです。

食品加工工場におけるよくある労災事故

食品加工工場では、さまざまな労災事故が発生しやすい環境です。労働安全衛生法第28条の2に基づく「リスクアセスメント」の視点によると、以下のような典型的な事故パターンが挙げられます。

・機械に手や衣服が巻き込まれる・挟まれる
・床が滑りやすい環境などによる転倒事故
・設備の不備や不注意による墜落・転落事故
・動作の反動・無理な動作による負傷
・刃物や工具による切れ・こすれ
・薬品の不適切な取り扱いによる怪我・事故
・騒音環境下での聴力障害
・高温や低温環境下での火傷・凍傷

これらの事故を防ぐためには、企業が従業員に適切な安全教育を行い、定期的な安全点検を実施することが不可欠です。

重大な事故により、死亡はもちろん、後遺障害が残るケースもある

食品加工工場を含む職場で発生する重大な事故は、従業員の生命を脅かすだけでなく、後遺障害が残る可能性もあります。

例えば、高所からの墜落や大型機械による圧迫事故は、致命傷を負うリスクが高く、死亡事故に直結する場合があります。さらに、一命を取り留めたとしても、脊髄損傷や四肢の切断といった重篤な後遺障害が残ることがあります。

これらの後遺障害は、被害者の生活の質を著しく低下させ、日常生活や仕事に大きな支障をきたす可能性があります。また、精神的な影響も無視できません。

事故後のトラウマや精神的ストレスは、長期的に被害者のメンタルヘルスに影響を与えることがあります。重大事故のリスクを減らすためには、企業が安全配慮義務を徹底し、従業員が安心して働ける環境を整えることが重要です。

また、万が一、重大な事故が発生した場合には、迅速かつ適切な対応が求められます。被害者の身体的・精神的な回復を支援し、必要な補償を提供することが、企業の責任となるのです。

労災保険の種類

労災保険とは、労働者が業務中や通勤中に起こった災害による負傷、病気、障害、死亡などに対して、国が事業主に代わって必要な給付を行う制度です。なお、業務災害の場合には「補償」という言葉が給付名に含まれていますが、通勤災害の場合には含まれていないため、注意が必要です。

労災保険の主な給付内容は以下の通り。

・療養給付

療養給付は、労働災害で負傷や病気をした労働者が、原則として無料で治療を受けられる制度です。この給付には、治療費や入院費、看護料など、治療に必要な費用がすべて含まれます。

・ 休業給付

休業給付は、労働災害によって労働ができなくなり、賃金が支払われない労働者に対して支給されます。この給付は、賃金が受けられなくなった日の第4日目から支給され、その額は対象となる給付基礎日額の60%です。給付基礎日額とは、労災が発生した前の3か月間の賃金総額をその期間の日数で割った額を指します。さらに、休業給付に加え、給付基礎日額の20%が特別支給金として支給されるため、合計で80%の収入が保障されます。

・傷病年金

傷病年金は、労働災害で負傷した労働者が、療養開始後1年6か月が経過しても治癒しない場合に支給されるものです。この給付は、傷病の程度に応じて1級から3級までの傷病等級に基づいて支給されます。また、療養開始後1年6か月経過時点で、休業給付を受け、かつ傷病等級1級から3級に該当する場合には、休業給付から傷病年金に切り替わります。

・障害給付

障害給付は、労働災害による負傷が治癒した後に、一定の障害が残った場合に、障害等級に応じて支給される給付です。

・介護給付

介護給付は、傷病年金または障害年金の受給資格があり、かつ常時または随時介護を受けている労働者に対して、月ごとに支給される給付です。

・遺族給付

遺族給付は、労働災害で労働者が亡くなった場合に、その遺族に対して支給されるものです。この給付には、「遺族年金」と「遺族一時金」の2種類があります。「遺族一時金」は、遺族補償年金の対象となる遺族がいない場合などに、その他の遺族に支給されるものです。

労災申請(認定)の流れ

労災の申請は、事故後、迅速に対応する必要があります。

具体的な流れは以下の通りです。

1.事業主への報告

2.医療機関へ受診・治療を受ける

3.労働基準監督署への申請

 ・療養補償給付たる療養の給付請求書(様式第5号)

 ・事業主証明(同法改正規則第18条)

 ・医師の診断書(同規則第19条)

4.労働基準監督署による調査・審査

5.労災認定・不認定の決定

まず、労働者が怪我をした場合は、すぐに企業に報告し、医療機関で治療を受けます。その後、労災保険の給付を受けるために、労働基準監督署に対して申請手続きを行います。

申請には、労働者が事故の状況を詳細に記載した「療養補償給付たる療養の給付請求書」や、医師による診断書が必要です。労働基準監督署はこれらの書類を基に、事故が労災に該当するかどうかを審査します。

審査の結果、労災と認定されると、労働者は医療費の補助や休業補償、障害補償などを受けることができます。

申請から認定までのプロセスには時間がかかる場合があり、その間の生活費や治療費が問題になることもあります。

また、企業が証明を拒否した場合でも、労働者は申請することができます。申請は複雑であるため、企業側は労働者に対して適切なアドバイスやサポートをする必要があるのです。

労災保険では十分な補償は受け取ることができない

労災保険は、労働者が業務中に負った怪我や疾病に対して一定の補償を提供する制度です。しかし、その補償内容は必ずしも十分ではありません。

民間の傷害保険や生命保険などと比較すると、その補償範囲や金額に限界があります。

たとえば、労災保険の休業補償は、給付基礎日額の60%(労災保険法第14条)にしかならず、事故前と同じ生活水準を維持するのは難しい場合があります。また、後遺障害が残った場合でも、その障害等級に応じた補償金が支給されるだけで、実際の生活費や治療費を完全にカバーするには不十分なことが多いです。

さらに、労災保険では精神的苦痛に対する慰謝料が含まれていないため、労働者が事故によるトラウマやストレスを抱えた場合、その分の補償を受け取ることができません。しかし、業務上の精神疾患が労災として認定された場合、その治療費や休業補償が支給されます。

これらの制約から、労災保険だけでは事故後の生活再建に十分なサポートが得られないケースがあるため、労災保険だけに頼るのではなく、必要に応じて他の補償手段や法的措置を検討することが重要です。

後遺障害が残った場合当事務所ができること

重大な事故によって後遺障害が残った場合、被害者はその後の生活において大きな制約を抱えることになります。

当事務所では、このような被害者に対して、法律的なサポートを提供し、適切な賠償を得るための手続きを支援します。

まず、医療専門家と連携し、後遺障害の程度を正確に評価し、労災保険から適切な補償が受けられるようにサポートします。労災保険による補償が不十分な場合には、企業に対して損害賠償請求を行うことも検討します。

この過程では、企業の安全配慮義務違反を立証し、被害者が適切な補償を受け取るための証拠を収集します。さらに、当事務所は被害者の精神的苦痛に対する慰謝料請求や、将来の生活費に対する補償も求めることができます。

後遺障害を抱えた被害者が、安心して生活を続けられるよう、当事務所が全力でサポートします。

会社に損害賠償請求をするという選択肢

労災保険の補償が不十分である場合、企業に対して損害賠償請求を行うことが有効な手段となります。

この請求は、企業が労働者に対する安全配慮義務を怠った結果、事故が発生した場合に特に重要です。損害賠償請求では、労災保険では補償されない逸失利益や精神的苦痛に対する慰謝料を求めることができます。

例えば、事故によって被害者が働けなくなった期間の収入減や、将来的な収入の減少に対する補償を企業に求めることもできます。また、事故が被害者に与えた精神的な苦痛や家族への影響も、損害賠償の対象となり得ます。このような請求を行うためには、専門的な法律知識と経験が必要です。

当事務所では、損害賠償請求をサポートし、被害者が適切な補償を受けられるよう全力で対応します。損害賠償請求は、被害者の生活再建を支援するための重要な選択肢であり、企業の責任を追及する手段としても有効であるということを知っておきましょう。