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労災事故で後遺障害が残り、労働基準監督署から等級認定を受けたものの、「この等級では自分の症状が正しく評価されていない」と感じている方は少なくありません。実際に日常生活や仕事に大きな支障が出ているにもかかわらず、思ったより低い等級で認定されてしまうケースは珍しくないのです。
私は弁護士として15年にわたり、数多くの労災案件に携わってきました。その中で、初回認定の結果に疑問を持ちながらも、「一度決まったものは覆らないのでは」と諦めてしまう方も見てきました。しかし、適切な手続きを踏めば、等級が見直される可能性は十分にあります。
今回は、当事務所が実際に担当した事例をもとに、審査請求によって後遺障害等級が14級9号から12級12号に変更された経緯をご紹介します。労災の等級認定に納得がいかない方にとって、参考になる情報をお伝えできればと思います。
事案の概要|業務中の事故で左膝を負傷した50代男性
ご依頼者は、製造業に従事されていた50代の男性です。業務中の事故により左膝部を負傷され、懸命に治療を続けられましたが、残念ながら後遺障害が残ってしまいました。
会社の総務部を通じて労災保険による後遺障害等級認定を申請したところ、労働基準監督署から「局部に神経症状を残すもの」として、後遺障害等級14級9号の認定を受けました。
しかし、ご依頼者はこの認定結果に不満を抱いていらっしゃいました。
ご依頼者が認定結果に納得できなかった理由
ご依頼者が14級9号という認定に納得できなかった背景には、切実な事情がありました。
まず、実際に感じている症状の程度が、認定等級に適切に反映されていないという思いがありました。左膝の痛みやしびれは日常的に続いており、認定された等級では到底その辛さを反映していないと感じていたのです。
また、日常生活への影響が過小評価されているという点も大きな不満でした。階段の上り下りや長時間の歩行が困難になるなど、事故前には当たり前にできていたことができなくなっていました。
さらに深刻だったのは、就労への支障です。製造業の現場では立ち仕事や体を動かす作業が中心でしたが、後遺障害によって以前と同様の業務に従事することが困難となりました。結果として転職を余儀なくされ、生活に大きな変化が生じていたのです。
このような状況の中、ご依頼者は「本当にこの等級が正しいのだろうか」という疑問を抱えながら、当事務所にご相談にいらっしゃいました。
弁護士による対応
当事務所では、まずご依頼者の状況を詳しく把握することから始めました。
医学的所見の精査を行い、後遺障害の程度と日常生活への具体的な影響を丁寧に聞き取りました。また、就労能力への支障がどの程度あるのかについても詳細に確認しました。さらに、情報開示請求によって医療記録等を収集・整理し、主治医への照会も実施しました。
これらの分析を踏まえ、初回認定に対する不服申立てとして、労働者災害補償保険審査官に対する審査請求を行いました。
審査請求では、医学的所見に基づく症状の重篤性を主張しました。特に重視したのは、他覚的所見の存在です。MRIなどの画像検査で客観的に確認できる異常があることを、医療記録をもとに丁寧に説明しました。
加えて、日常生活動作への具体的な制限についても詳しく述べました。どのような動作が困難になっているのか、事故前と比べてどれほど生活が変わってしまったのかを具体的に示しました。そして、就労能力に対する実質的な影響として、転職を余儀なくされた経緯なども主張に盛り込みました。
解決結果|審査請求により12級12号への等級変更を実現
審査請求の結果、後遺障害等級は14級9号から12級12号に変更されました。12級12号は「局部に頑固な神経症状を残すもの」という認定内容であり、14級9号よりも重い後遺障害として認められたことになります。
この等級変更は、ご依頼者の症状の実態がより適切に評価された結果といえます。医学的所見を丁寧に整理し、日常生活や就労への具体的な影響を明確に伝えたことが、審査官の判断を変える材料となりました。
ご依頼者からは「お願いして本当に良かったです。事故で生活が一変し、仕事も変えざるを得なかった中で、審査請求により適正な等級認定を受けることができました。一人では諦めていたかもしれませんが、専門的な視点から丁寧に対応していただき、心から感謝しています」というお声をいただきました。
労災の後遺障害等級認定でお悩みの方へ
労災の後遺障害等級認定では、医学的所見の適切な評価と、症状が日常生活や就労能力に与える実際の影響を正確に伝えることが重要です。しかし、専門的な知識がなければ、何をどのように主張すればいいのか分からないことも多いでしょう。
今回の事例のように、初回認定に納得がいかない場合でも、適切な手続きにより等級の見直しが可能な場合があります。「一度決まった等級は変わらない」と諦める必要はありません。
後遺障害でお困りの方は、一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください。適正な認定を受けることで、将来にわたる補償を確保し、安心して生活を送るための土台を築くことができます。当事務所では、労災に関するご相談を随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
※本事例は個人情報保護の観点から、事案の本質を損なわない範囲で一部内容を変更しております。






