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今回は、当事務所が実際に担当した事例をもとに、派遣労働者が派遣元・派遣先の両社に対して損害賠償請求を行い、約1500万円の賠償金を獲得した経緯をご紹介します。労災事故に遭われた派遣労働者の方にとって、参考になる情報をお伝えできればと思います。
事案の概要|派遣先での作業中に左手親指を負傷した40代男性
ご依頼者は、派遣社員として製造業の工場で勤務されていた40代の男性です。派遣元の人材派遣会社を通じて、派遣先の工場において、とある製品の製造に関する機械オペレーターや検査業務に従事されていました。
ある日、装置での作業中に労災事故が発生しました。装置の内容物を取り出す作業中、左手を挟まれ、左手の親指を負傷してしまったのです。
ご依頼者は直ちに病院で治療を受け、左母指基節骨開放骨折等の診断を受けました。
その後、2度の手術を経て、約1年間にわたる治療を続けられましたが、残念ながら左手親指の可動域制限という後遺障害が残ってしまいました。
労災保険の手続きにより、第10級6号の後遺障害等級認定を受けましたが、現在も左手親指の関節が十分に曲がらず、痛みや痺れが残っている状態でした。
ご依頼者が相談に至った経緯
ご依頼者が当事務所にご相談にいらっしゃった背景には、いくつかの切実な事情がありました。
まず、後遺障害により従来の仕事を続けることが困難になったことです。左手親指の握力が著しく低下し、製造業の現場で必要とされる細かな作業ができなくなってしまいました。その結果、事故から半年後には退職を余儀なくされました
さらに、労災保険から治療費と休業損害の給付は受けていたものの、後遺障害が残ったことによる将来の収入減少や精神的苦痛に対する補償が十分ではないと感じていました。そして、派遣先の工場における安全管理体制に問題があったのではないかという疑問もお持ちでした。
弁護士による対応
当事務所では、まずご依頼者の状況を詳しく把握することから始めました。
情報開示請求により、労働局から労災保険に関する資料を取り寄せ、事故の詳細な状況や治療経過、後遺障害の内容を整理しました。また、ご依頼者から事故当時の作業環境や安全教育の有無について詳しくお聞きし、安全配慮義務違反の有無を検討しました。
検討の結果、派遣元である人材派遣会社、派遣先である製造会社いずれにも、安全配慮義務違反があると判断し、両社に対して損害賠償請求書を送付しました。
解決結果|派遣先から損害賠償金約1500万円を獲得
交渉の結果、派遣先の会社に代理人弁護士が就任し、交渉の結果、約1500万円の損害賠償金を獲得することができました(当方にも一定の過失があることを前提とした和解)。
この金額は、傷害による損害(治療費、通院費、入院雑費、休業損害、傷害慰謝料)と、後遺障害による損害(逸失利益、後遺障害慰謝料)の合計から、労災保険の既払額を控除したものです。
労災の損害賠償請求でお悩みの方へ
労災事故で後遺障害が残った場合、労災保険からの給付だけでは損害の全てが補償されません。会社側に安全配慮義務違反がある場合には、労災保険とは別に、会社に対して損害賠償を請求することができます。
特に派遣労働者の方の場合、派遣元と派遣先のどちらに責任があるのか、どのように請求すればよいのか分からないことも多いでしょう。今回の事例のように、派遣元・派遣先の両方に安全配慮義務違反が認められるケースでは、両社に対して損害賠償を請求することが可能です。
「労災保険をもらっているから、これ以上は請求できない」「会社に請求するなんて大げさだ」と諦める必要はありません。専門的な知識がなければ、何をどのように主張すればいいのか分からないことも多いですが、適切に対応すれば、今回の事例のように相当額の賠償金を得られる可能性があります。
労災事故でお困りの方は、一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください。適正な賠償を受けることで、将来にわたる生活の土台を築くことができます。当事務所では、労災に関するご相談を随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
※本事例は個人情報保護の観点から、事案の本質を損なわない範囲で一部内容を変更しております。






