0776-28-2824 受付時間 9:30~20:00(土日祝対応)

0776-28-2824

受付時間 9:30~20:00(土日祝対応)

メール相談 LINE相談 受給判定
労災事故でご家族を亡くされた方へ

事務所概要・アクセス

弁護士法人ふくい総合法律事務所 〒910-0005
福井県福井市大手3丁目14番10号 TMY大名町ビル5階
0776-28-2824 受付時間 9:30~20:00(土日祝対応)
小前田宙
私たちは、事務所として1つのチームになって、依頼者のお話をじっくりお聞きし、的確かつ迅速なリーガルサービスの提供を果たしていきたいと考えております。 依頼者に「ふくい総合法律事務所に来てよかった」、「何かあったらまた相談したい」と言われることを目指しています。

労災事故でご家族を亡くされた方へ

労災事故でご家族を亡くされた方の心の痛みは、言葉では表現しきれないほど深いものです。突然の出来事に混乱し、悲しみの中で「これからどうすればいいのか」「家族の生活はどうなるのか」という不安を抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

私は福井県で15年以上にわたり弁護士として活動し、数多くの労災事故のご相談をお受けしてきました。その中でも、ご家族を亡くされたご遺族の方々とお話しする際は、その深い悲しみと将来への不安を目の当たりにし、法律家として何ができるかを常に考えてきました。特に一家の大黒柱を失われたご家族の経済的な不安は切実で、適切な補償を受けることが今後の生活の安定に直結することを痛感しています。

労災事故でご家族を亡くされた場合、多くの方が労災保険からの給付のみを受け取って終わりだと思われがちです。しかし実際には、労災保険給付に加えて会社への損害賠償請求も可能な場合が多く、適切な手続きを行うことで十分な補償を受けることができます。悲しみの中にあっても、ご家族の将来のために知っておいていただきたい重要なことがあります。

今回の記事では、労災事故でご家族を亡くされた方が受けられる補償の全体像と、適切な補償を受けるために必要な手続きについて、具体例を交えながら分かりやすく解説していきます。一人で抱え込まず、正しい知識を身につけて、ご家族の未来を守るための第一歩を踏み出していただければと思います。

第1章:労災事故による死亡で受けられる労災保険給付

労災事故でご家族を亡くされた場合、まず最初に行うべきことは労災申請です。労災と認定されれば、労災保険からご遺族に対していくつかの給付が支給されます。これらの給付は今後の生活を支える重要な基盤となりますので、必ず申請しておきましょう。

遺族補償給付について

労災事故で亡くなった労働者のご遺族には、遺族補償給付が支給されます。この給付は、亡くなった方の収入によって生計を維持していたご家族が対象となります。同居していた場合はもちろん、共働きであっても生計の一部を維持していれば対象となります。

遺族補償給付には「遺族補償年金」「遺族特別年金」「遺族特別支給金」の3つがあります。

遺族補償年金は、被災労働者の収入で生計を立てていた家族向けの年金です。対象は配偶者、子供、親、孫、祖父母、兄弟姉妹(条件あり)。金額は遺族の人数と被災者の給与に応じて決まります。

例えば
・遺族1人:給付基礎日額の153日分
・遺族2人:給付基礎日額の201日分
・遺族3人:給付基礎日額の223日分
・遺族4人:給付基礎日額の245日分

具体的な例でご説明しましょう。45歳の労働者が労災事故で亡くなり、年収が約584万円、給付基礎日額が1万6000円、年間賞与が約76万円で、ご遺族が妻と子供2人(16歳と12歳)の場合を考えてみます。

ご遺族が3名の場合、遺族補償年金は給付基礎日額の223日分が支給されます。つまり、1万6000円×223日分=356万8000円が年間で支給される金額となります。

遺族特別年金も同様に、算定基礎日額の223日分が支給されます。算定基礎日額は76万円÷365日=2000円となり、2000円×223日分=44万6000円が年間で支給されます。

これらの年金は毎年偶数月の中旬に2ヶ月分がまとめて支給され、受給権者がいる限り継続して受け取ることができます。

さらに、遺族特別支給金として、300万円の遺族特別支給金も支給されます。

葬祭料について

2つ目の受け取れる給付は、葬祭料です。葬祭料は、葬儀を行った人に支給されます(遺族に限りません)。金額は「31万5000円 + 給付基礎日額の30日分」です。この額が給付基礎日額の60日分に満たなかった場合は、給付基礎日額60日分の給付金が支払われます。

労災就学援護費について

死亡したご家族に子供がおり、その子供の学費の支払いが困難な場合には、労災保険から労災就学援護費が支給されます。

このように、労災と認定されれば、亡くなった方が本来得られたはずの収入の一部が年金として継続的に支給され、ご遺族の生活が一定程度安定します。しかし、これだけでは十分な補償とは言えない場合が多いのが現実です。

第2章:労災保険だけでは十分ではない理由

労災保険からの給付は確かに重要な支えとなりますが、残念ながらそれだけでは十分な補償とは言えません。なぜ労災保険だけでは不十分なのか、その理由を詳しくご説明します。

慰謝料は労災保険から支給されない

労災保険の最も大きな限界は、慰謝料が一切支給されないことです。ご家族を突然失った精神的な苦痛に対する慰謝料は、労災保険の給付項目には含まれていません。

労災事故でご家族を亡くされたご遺族の精神的な苦痛は計り知れないものがあります。特に会社の安全管理が不十分だったために起きた事故の場合、その怒りや悲しみは深刻です。しかし、労災保険ではこうした精神的な損害は全く考慮されていないのです。

逸失利益の補償が不十分

労災保険では、亡くなった方が将来得られたはずの収入、つまり逸失利益についても十分な補償がなされません。

先ほどの例で具体的に計算してみましょう。45歳で年収600万円の労働者が亡くなった場合の逸失利益を計算すると、600万円×(1-0.3)×15.9369=6693万4980円となります。この計算は、67歳まで働けたはずの期間を考慮し、生活費控除率30%を差し引いたものです。

一方、この金額から差し引くべき遺族補償給付については、これまでに受給した遺族補償年金のみです。重要なのは、遺族特別年金と遺族特別支給金は控除されないということです。また、将来支給される遺族補償年金も控除対象外です。

労災保険の遺族補償年金だけでは、逸失利益の補償としては不十分であるのです。

労災保険と損害賠償の根本的な違い

労災保険は社会保険制度として、労働者とその家族の最低限の生活を保障することを目的としています。一方、損害賠償は、事故によって生じた損害を完全に補填することを目的としています。

この目的の違いから、労災保険では補償されない部分が多く存在するのです。特に高収入の方や、将来性のある若い方の場合、労災保険だけでは実際の損害の一部しか補償されないことが多くなります。

会社の責任が問われるべき場合

労災事故が発生した原因に会社の安全配慮義務違反がある場合、会社は法的責任を負うべきです。安全設備の不備、安全教育の不足、過重労働の強制など、会社側に落ち度がある場合には、労災保険とは別に損害賠償責任が発生します。

このような場合、労災保険の給付だけで済ませてしまうのは、会社の責任を不当に軽くすることになり、再発防止の観点からも適切ではありません。

適切な補償を受けるためには、労災保険給付と併せて会社への損害賠償請求も検討する必要があるのです。

第3章:会社への損害賠償請求で得られる補償

労災保険だけでは不十分な補償を補うため、会社に対して損害賠償請求を行うことができます。ここでは、どのような補償が得られるのか、具体的な金額とともに詳しく解説します。

死亡逸失利益の適切な補償

損害賠償請求では、亡くなった方が将来得られたはずの収入について、より適切な補償を受けることができます。

先ほどの例(45歳、年収600万円、扶養家族3人)で計算すると、死亡逸失利益は6693万4980円となります。この金額から、これまでに受給した遺族補償年金のみが控除されます。重要なのは、遺族特別年金と遺族特別支給金は控除されないということです。また、将来支給される遺族補償年金も控除対象外です。

つまり、損害賠償請求により、労災保険では補償しきれない大きな金額を受け取ることができる可能性があります。

死亡慰謝料について

労災事故で一家の支柱が亡くなった場合の慰謝料は、一般的に2800万円が相場となっています。被災者が母親や配偶者の場合は2500万円、その他の場合は2000万円から2500万円程度です。

さらに、近親者固有の慰謝料が認められることもあります。特に会社の安全管理が著しく不十分だった場合や、事故後の対応が不誠実だった場合には、慰謝料が増額される可能性もあります。

労災保険からは一切支給されないこの慰謝料を受け取ることで、ご遺族の精神的苦痛に対する適切な補償を得ることができます。

安全配慮義務違反とは

会社への損害賠償請求が認められるためには、会社に安全配慮義務違反があったことを証明する必要があります。

安全配慮義務とは、労働者の生命や健康を危険から保護するよう会社が配慮する義務のことです。具体的には、労働安全衛生法やその関連法令に違反している場合に、安全配慮義務違反が認められます。

例えば、必要な安全設備を設置していなかった、適切な安全教育を行っていなかった、危険な作業方法を放置していた、過重労働を強いていたなどの場合です。建設現場での安全帯の不備、工場での機械の安全装置の欠陥、長時間労働による過労死なども、安全配慮義務違反にあたる可能性があります。

過失相殺について

損害賠償請求では、労働者側にも一定の落ち度があった場合、過失相殺により賠償額が減額されることがあります。

しかし、会社と労働者では安全確保に関する責任の重さが大きく異なります。会社は労働環境を管理し、安全を確保する立場にあるため、労働者の軽微な注意不足があったとしても、大幅な減額がなされることは多くありません。

過失相殺の割合は事故の具体的な状況によって決まりますが、適切な主張と立証により、減額を最小限に抑えることが可能です。

このように、適切な損害賠償請求により、労災保険では得られない大きな補償を受けることができます。ただし、安全配慮義務違反の立証や適切な損害額の算定には専門的な知識が必要となります。

第4章:弁護士に依頼することの重要性

労災事故でご家族を亡くされた場合、弁護士に依頼することで得られるメリットは数多くあります。悲しみの中で複雑な手続きを一人で進めるのは大変な負担です。専門家のサポートを受けることの重要性について詳しくご説明します。

労災認定のサポート

労災認定を受けるためには、事故が業務に起因していることを適切に証明する必要があります。特に過労死や精神疾患による自殺の場合、長時間労働の事実を客観的に証明することが重要になります。

例えば、過労死の労災認定では、月80時間から100時間の時間外労働があったことを証明しなければなりません。しかし、会社がタイムカードを適切に管理していない場合や、サービス残業が常態化している場合、労働時間の立証は困難になります。

弁護士は、パソコンのログデータ、メールの送信時刻、警備会社の入退館記録、同僚の証言など、様々な角度から労働時間を証明する証拠の収集方法をアドバイスできます。

安全配慮義務違反・過失相殺の適切な判断

会社に損害賠償請求を行うためには、安全配慮義務違反があったかどうか・過失相殺を行うべきか等を正確に判断する必要があります。これには労働安全衛生法令の詳細な知識が必要で、一般の方が独自に調査するのは困難です。

弁護士は、事故の状況を詳しく聞き取り、関係する法令や行政通達を調査して、会社の安全配慮義務違反を特定します。また、過去の類似事例や裁判例を分析することで、安全配慮義務違反・過失相殺について適切に判断できます。

複雑な損害計算の対応

労災事故における損害賠償額の計算は非常に複雑です。逸失利益の計算では、将来の昇進可能性なども考慮する必要があります。また、労災保険給付のうち何をどの損害項目から控除するかについても、専門的な知識が必要です。

過失相殺についても、過去の裁判例を分析して、どの程度の減額が予想されるかを適切に判断しなければなりません。弁護士は、これらの複雑な計算を正確に行い、適正な損害賠償額を算定します。

ご遺族の精神的負担の軽減

労災事故の直後から、ご遺族は労働基準監督署での手続き、会社との交渉、保険会社とのやり取りなど、多くの対応に追われることになります。悲しみの中でこれらの負担を一人で背負うのは非常に辛いことです。

弁護士に依頼することで、これらの手続きを代行してもらうことができます。また、会社や保険会社からの不適切な対応があった場合にも、弁護士が窓口となって毅然とした対応を取ることができます。

地域に根ざした事務所の強み

当事務所は福井県で15年以上にわたり労災事故の案件を数多く取り扱ってきました。地域の労働基準監督署や裁判所との関係も深く、地域特有の事情を踏まえた適切な対応が可能です。

また、地域密着の事務所として、ご相談者の皆様と長期にわたってお付き合いさせていただき、アフターフォローも丁寧に行っています。

弁護士への依頼により、適切な補償を受けるとともに、ご遺族の負担を大幅に軽減することができます。一人で抱え込まず、専門家のサポートを受けることを強くお勧めします。

まとめ

労災事故でご家族を亡くされた場合、まずは労災保険給付の申請を行い、遺族補償給付や葬祭料などの基本的な補償を確保することが重要です。しかし、労災保険だけでは慰謝料が支給されず、逸失利益についても十分な補償を受けることができません。

適切な補償を受けるためには、労災保険給付と併せて会社への損害賠償請求も検討する必要があります。

悲しみの中で複雑な手続きを一人で進めることは、精神的にも大きな負担となります。適切な補償を受け、ご家族の将来を守るためにも、労災問題に精通した弁護士に早めにご相談いただくことをお勧めします。

当事務所では、労災事故に関する初回相談を無料で承っております。福井県で15年以上にわたり数多くの労災案件を取り扱ってきた経験を活かし、ご遺族の皆様に寄り添いながら、適切な補償を受けるためのサポートを提供いたします。

労災事故でご家族を亡くされ、これからどうすればよいか分からずにお悩みの方は、一人で抱え込まずに、ぜひ当事務所までご相談ください。