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労災隠しは違法行為です!

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労災事故が発生した場合、企業には労働基準監督署への報告義務があります。これは法律で定められた義務であり、企業が従うべき基本的なルールです。

しかし、企業が「労災隠し」を図ろうとするケースは後を絶ちません。

「会社から労災申請しないように言われている」
「治療費は会社が出すからと言われたが、本当にそれでいいのだろうか」
「正社員ではないから労災は使えないと言われた」
このようなことを会社に言われて、不安を抱えている労働者の方は決して少なくないはずです。

この記事では、私の経験をもとに、労災隠しとは何か、その具体的な対処方法についてご説明します。労災事故に遭われた方が、適切な補償を受けられるよう、以下で詳しく解説していきます。

労災隠しとは何か

労働災害(労災)が発生した場合、企業には労働安全衛生法に基づいて労働基準監督署への報告義務があります。具体的には「労働者死傷病報告」という報告書を提出しなければなりません。

しかし、一部の企業はこの報告を意図的に怠り、労災を隠そうとすることがあります。これが「労災隠し」です。労災隠しにより、企業は労働基準監督署への報告を怠り、労働者による労災申請を妨害したりするのです。

では、なぜ企業は労災隠しをしようとするのでしょうか。

労働基準監督署による調査を警戒

労災が発覚することで企業の違法な体制が明るみに出ることを恐れているからです。労災事故が報告されると、労働基準監督署による調査が入り、長時間労働の実態や不適切な安全衛生管理体制など、これまで隠されていた問題が表面化する可能性があります。

手続をするのが面倒

単純に労災申請の手続きが面倒なので協力したくない、という会社もあります。

また、労災申請のやり方がわかっていないので、労災の手続きをすることに消極的であることもあります。

労働保険料が上がるから

また、労災事故を発生させた事業場は、労災保険料率の優遇措置(メリット制)が受けられなくなり、保険料負担が増加することも理由の一つです。

なお、従業員20人未満の事業所においては、労災保険の使用が翌年度の保険料率に影響を与えることはありません。

労災保険に加入していない

会社は、従業員を1人でも雇用した時点で労災保険への加入が義務付けられています。しかし、保険料の支払いを避けたいという理由で未加入のままの事業所が存在します。そのような事業所では、労災事故が発生した際に未加入が発覚することを避けるため、労災を隠そうとします。

労災隠しによる労働者の不利益

労災隠しは労働者に深刻な不利益をもたらします。

労災保険による補償を受けられないこと

まず、労災保険による補償を受けられなくなります。労災保険は、治療費が全額無料になるだけでなく、休業補償や後遺障害が残った場合の障害補償給付など、手厚い保障が受けられる制度です。これらの補償を受ける権利が奪われることになります。

会社への損害賠償請求の機会を失うこと

さらに、企業の安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求の機会も失われかねません。労災事故の事実そのものが闇に葬られてしまうと、企業の責任を問うことも困難になってしまうのです。

労災隠しは労働者の権利を侵害すること

このように、労災隠しは労働者の権利を著しく侵害する違法行為です。労働者の適切な補償を実現するため、決して見過ごすことはできない問題なのです。

労災隠しの典型的な手口

企業による労災隠しには典型的なパターンがいくつかあります。ここでは、実際によく見られる労災隠しの手口をご説明します。

「自己責任だから労災は使えない」という手口

「自己責任だから労災は使えない」「これくらいの事故は労災に該当しない」などと、会社が一方的に判断を下すケースもあります。

しかし、ある事故が労災に該当するかどうかの判断は、会社ではなく労働基準監督署が行うものです。会社による恣意的な判断で、労災申請の機会を奪われることはあってはなりません。

「うちは労災保険に入っていないから」という手口

「うちの会社は労災保険に入っていないから申請できない」と説明するケースもあります。しかし、これは完全な誤りです。

労災保険は、労働者を一人でも雇用している事業主に加入が義務付けられている制度です。「未加入」を理由に労災申請を拒むのは、法律違反を重ねる行為と言えます。

「パートやアルバイトは労災保険が使えないから」という手口

「パートやアルバイトは労災保険が使えないから」と説明されるケースも見られます。これも明らかな誤りです。

労災保険は、正社員だけでなく、パート、アルバイト、契約社員、派遣社員など、すべての労働者に適用される制度です。雇用形態による区別は一切ありません。

「治療費は会社が負担するから」という手口

「治療費は会社が負担するので、労災申請は必要ない」と労働者を説得するケースです。一見、会社が面倒を見てくれるように聞こえますが、これは大きな落とし穴があります。

治療費の負担だけでは、休業補償や後遺障害が残った場合の補償が受けられません。また、会社の都合で治療費の支払いが滞る可能性もあります。

このように、労災隠しの手口は一見もっともらしい説明で労働者を納得させようとするものが多いのです。しかし、いずれも根拠のない不当な説明です。次パートでは、このような労災隠しに遭遇した場合の具体的な対処方法についてご説明します。

労災隠しへの具体的な対処方法

労災隠しに遭遇した場合、どのように対応すればよいのでしょうか。

ここでは、労働者の方が取るべき具体的な行動についてご説明します。

自分で労災申請をする

まず押さえておきたいのは、労災保険の申請は労働者自身で行うことができるという点です。会社の協力が得られなくても、労働者単独で手続きを進めることが可能です。

労災申請の際、通常は申請書類に会社の証明が必要ですが、会社が証明を拒否した場合でも労働基準監督署は申請を受け付けてくれます。その場合は、会社が証明を拒否している事情を労働基準監督署に説明しましょう。

証拠を確保する

労災隠しに遭遇した場合、後の手続きに備えて可能な限り証拠を残しておくことが重要です。

具体的には以下のような証拠が有効です:

・事故現場の状況がわかる写真や図面
・労働時間を示すタイムカードやシフト表の記録
・業務内容が確認できる書類
・医療機関での診断書や領収書
・会社とのやり取りの記録(メールや書面など)

これらの証拠は、労災認定の手続きや、会社に対する損害賠償請求の際に重要な役割を果たします。

専門家に相談する

実際のところ、労働者一人で会社の労災隠しに対応するのは困難です。会社との力関係もある中で、適切な対応を取り続けるのは大きな精神的負担となります。

まずは、労働基準監督署に相談するのは有効な手段です。労災隠しは法律違反であり、労働基準監督署による調査や指導の対象となります。

また、労災隠しが疑われる状況に直面した場合は、弁護士に相談することもお勧めします。

労災隠しから労働者の権利を守るために

これまでご説明してきたように、労災隠しは労働者の正当な権利を侵害する違法行為です。

労災事故に遭われた方、あるいは会社から労災申請を妨害されている方は、一人で悩まず、まずは専門家に相談することをお勧めします。当事務所では、労災に関する相談を無料で承っております。

あなたの状況をしっかりと伺い、適切な対応方法をご提案させていただきます。

まずは、お気軽にご相談ください。