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労災事故で肩が動かない|適正な補償を受けるために

労災事故で肩が動かない|適正な補償を受けるために

肩が動かなくなる—このような症状は、日常生活に大きな支障をきたします。特に労働現場での事故や長時間の重労働が原因で発生した場合、その影響は仕事にも及び、生活の質を著しく低下させてしまいます。

「これから仕事は続けられるのだろうか」
「治療費はどうなるのだろう」
「後遺障害が残った場合、どのような補償が受けられるのか」

事故に遭われた方やご家族の多くは、このような不安を抱えながら日々を過ごされています。私はこれまで、労災被害者が労災保険の仕組みや補償の範囲について十分な情報を得られないまま、必要な補償を受け損ねてしまうケースを数多く見てきました。

そこで今回は、肩が動かなくなる事故に遭われた方やそのご家族の方に向けて、適正な補償を受けるために必要な知識を解説していきます。

第1章 肩が動かなくなる労災の事例

事例1:腱板断裂

工場で働くAさんは、作業中にバランスを崩し、重い機械を支えようとした際に肩の腱板を断裂してしまいました。腱板とは、肩関節を取り囲む複数の筋肉と腱からなる構造で、腕を上げたり回したりする動きを支えています。この断裂により、Aさんは肩の動きが著しく制限され、特に重い物を持ち上げることが困難になりました。

事例2:肩関節の損傷 

建築現場で働くBさんは、高所から転落した際に肩に激しい痛みを感じました。診断の結果、肩関節が損傷し、肩を動かすことができなくなっていました。肩関節の損傷は、関節がずれたり、関節内の組織が損傷したりすることで発生します。これにより、肩の可動域が大きく制限され、日常生活にも支障が生じるようになりました。

事例3:慢性的な障害 

倉庫で働くCさんは、重い荷物を繰り返し持ち上げる作業を長年続けてきました。その結果、徐々に肩に痛みを感じるようになり、動きも制限されるようになりました。一度の事故ではなく、反復的な動作による慢性的な負担が蓄積することでも、肩が動かなくなる障害が引き起こされることがあります。

このように、労災による肩の怪我は、事故の形態によってさまざまです。

第2章 肩が動かなくなる労災における後遺障害認定

肩の負傷の治療を終えた後、「肩が思うように動かない」「痛みが残る」といった症状が続くことがあります。このような後遺障害が認められると、労災保険から補償を受けることができます。

肩が動かない場合における後遺障害は、大きく分けて「機能障害」、「神経障害」の2種類があります。

機能障害について

治療後、以前のように肩が自由に動かせなくなってしまうケースがあります。これが、「機能障害」です。

機能障害は原則として、患側(負傷した側)の可動域と健側(負傷していない側)の可動域を比較して判断され、その制限の程度によって後遺障害等級が認定されます。

認定される主な等級は以下の通りです:

・8級6号「1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの」
肩の関節の可動域が、健側と比べて約10分の1以下に制限された状態等を指します。

・10級9号「1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」
肩の可動域が健側の約2分の1以下に制限された状態等です。

・12級6号「1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」
肩の可動域が健側の約4分の3以下に制限された状態等を指します。

神経障害とは

肩の負傷の治療が終了しても、肩に痛みやしびれ等が残る場合、神経障害として、後遺障害と認定される可能性があります。

他覚的(画像所見等)に神経障害の存在が証明できる場合は12級12号、神経障害の存在が医学的に説明可能な場合は14級9号と認定されます。

※後遺障害について詳しくはこちら:労災で後遺障害が残ると言われた方へ

第3章 労災事故による肩が動かない場合に受けられる補償

労災事故で肩が動かない場合、適切な手続きを行うことで様々な補償を受けることができます。私の経験では、被災者の方やそのご家族が受けられる補償の全容を把握していないケースが少なくありません。ここでは、どのような補償が受けられるのか、説明していきます。

労災保険からの給付内容

まず、労災保険から受けられる主な給付について説明します。これらは、労災認定を受けることで請求が可能となります。

療養補償給付
療養補償給付は、治療にかかる費用を補償するものです。肩を負傷する事故の場合、長期のリハビリテーションが必要となることも多く、この給付は重要な意味を持ちます。

休業補償給付
休業補償給付は、働けない期間の収入を補償するものです。給付基礎日額の80%(休業補償給付60%+休業特別支給金20%)が支給されます。肩を負傷する事故の場合、手術後の回復期間や機能回復のためのリハビリ期間中の収入を補償する重要な給付となります。

障害補償給付
後遺障害が残った場合には、障害補償給付を受けることができます。先ほど説明した障害等級に応じて、年金または一時金が支給されます。第7級以上の場合は年金として、第8級以下の場合は一時金として支給されるのが特徴です。

使用者に対する損害賠償請求

労災保険による補償に加えて、事故の原因に会社側の責任が認められる場合には、使用者に対して損害賠償を請求できる可能性があります。

例えば、安全対策が不十分な状態で作業をさせていた場合や、必要な研修・指導を怠っていた場合などは、会社側の安全配慮義務違反として損害賠償請求の対象となりえます。この場合、労災保険では補償されない慰謝料や、休業損害の不足分などを請求することができます。

※使用者に対する損害賠償請求については詳しくはこちら:労災で会社への損害賠償請求をお考えの方へ

まとめ:不安を抱え込まずに専門家に相談を

肩が動かないという労災事故は、被災者の方の人生に大きな影響を与えかねない深刻な事故です。適切な補償を受け、円滑な職場復帰を実現するためにも、一人で悩みを抱え込まず、専門家に相談することをお勧めします。

私たち弁護士法人ふくい総合法律事務所では、労災事故の被害に遭われた方々のご相談を無料でお受けしています。

少しでも不安や疑問がありましたら、まずはお気軽にご相談ください。