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小前田宙
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労働災害とは?

働いている中で突然のケガや病気に見舞われたとき、それが「労働災害」に該当するのかどうか判断に迷うことはありませんか。労働災害は、労働者の生活に深刻な影響を与える可能性があるにも関わらず、その定義や認定要件について正しく理解している人は多くありません。

私は福井県で15年間以上弁護士として活動し、多くの労働災害事案を取り扱ってまいりました。その経験の中で、労働災害の基本的な知識を理解していないために、本来受けられるはずの補償を受けられなかったり、適切な対応が遅れてしまったりするケースを数多く見てきました。

今回の記事では、労働災害の基本的な定義から認定要件まで、労働者の皆様が知っておくべき重要なポイントについて詳しく解説していきます。正しい知識を身につけることで、万が一の際に適切な対応ができるようになるでしょう。

第1章 労働災害の基本的な定義と原因

労働災害とは、労働者が仕事に関連してケガや病気を負ったり、死亡したりする事故や健康被害のことを指します。単純に職場でケガをしたというだけではなく、労働者が働く過程で発生する様々な危険要因によって引き起こされる災害全般を含む概念です。

労働災害の原因は実に多岐にわたります。危険な作業環境や施設の不備、作業機械や装置の不適切な使用、適切な保護具の欠如などの物理的な要因があります。また、労働時間や休憩時間の適切な管理の不備、作業手順のミス、労働者の無理な労働負荷や過労といった管理上の問題も重要な原因となります。さらに、化学物質や有害物質への暴露による健康被害も労働災害の一つです。

労働災害の結果として、労働者は怪我をしたり、後遺症が残ったり、最悪の場合は死亡することがあります。これにより、労働者やその家族に深刻な身体的・精神的な苦痛が生じるだけでなく、医療費の負担や収入の減少など、社会的・経済的な影響も大きく及ぶことになります。

第2章 業務災害として認定されるための要件

労働災害は大きく「業務災害」と「通勤災害」に分けられますが、まず業務災害について詳しく見ていきましょう。

業務災害とは、業務から生じた災害、すなわち労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下において労働を提供する過程で、業務に起因して発生した災害をいいます。業務災害であると認められるためには、「業務遂行性」と「業務起因性」という2つの要件を満たす必要があります。

業務遂行性とは何か

業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態をいいます。これは単純に「仕事をしている時間」だけを指すものではありません。

労働者が実際に業務に従事している最中はもちろんのこと、業務に従事していない時間であっても、休憩時間中など、事業主が指揮監督を行いうる余地があって、その限りで事業主の支配下にある場合には、原則として業務遂行性があると判断されます。

たとえば、昼休み中に会社の敷地内で転倒してケガをした場合や、残業前の待機時間中に事故に遭った場合なども、事業主の支配下にあるとして業務遂行性が認められる可能性があります。

業務起因性の判断基準

業務起因性とは、「業務が原因」となってケガを負ったこと、すなわち、業務と負傷や疾病などとの間の因果関係のことを指します。

この要件では、単に職場でケガをしたというだけでは不十分で、そのケガが業務に起因するものである必要があります。業務に内在する危険が現実化したものか、業務の遂行に伴って生じた危険が原因となったものかが重要な判断基準となります。

たとえば、業務で使用する機械による事故、業務上必要な作業による転倒事故、業務による過労が原因となった疾病などは、業務起因性が認められやすいケースです。一方で、労働者の私的な行為が原因となった事故や、業務とは無関係な原因による疾病については、業務起因性が否定される場合があります。

第3章 通勤災害として認定される条件

通勤災害とは、労働者の通勤によって発生した傷病等をいい、「通勤」のときに負ったケガや病気に対して認定される労働災害です。

「通勤」に該当するケースとしては、以下の3つがあります。

  • 住居と就業場所との往復
  • 就業場所から他の就業場所への移動
  • 単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動

まずは、住居と就業場所との往復です。これが最も一般的な通勤のパターンで、自宅から会社まで、会社から自宅までの移動が該当します。

次に、就業場所から他の就業場所への移動があります。これは、複数の事業場で勤務する労働者や、出張などで異なる就業場所に移動する場合の移動を指します。

そして、単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動も通勤に含まれます。単身赴任者が週末や休暇時に家族のもとに帰る際の移動が該当します。

合理的な経路と方法の重要性

これらの移動は合理的な経路および方法により行う必要があります。つまり、通常利用される経路を通常の方法で移動することが前提となります。

したがって、移動経路からの「逸脱」や「中断」があった場合には、原則として「通勤」とは認められません。たとえば、通勤途中に友人宅に立ち寄ったり、趣味の活動のために大きく経路を変更したりした場合は、通勤災害として認定されない可能性があります。

もっとも、この逸脱・中断が、日常生活を行ううえで必要な行為をやむを得ない事由のために最小限度で行うものである場合には例外があります。日用品の購入や選挙権の行使など、社会生活上必要最小限の行為による逸脱・中断後の移動は「通勤」にあたるとされています。

まとめ:労働災害に遭ったときの適切な対応

労働災害について正しい知識を持つことは、労働者の皆様にとって非常に重要です。労働災害の定義や認定要件を理解することで、万が一の際に適切な判断と対応ができるようになります。

業務災害では業務遂行性と業務起因性、通勤災害では合理的な経路と方法での移動が重要なポイントとなります。これらの要件を満たす場合には、労災保険による適切な補償を受けることができます。

もし労働災害に遭われた場合や、労働災害の認定について疑問がある場合は、専門的な知識を持つ弁護士に相談することをお勧めします。適切な労災申請を行い、必要な補償を確実に受けるためには、専門家のサポートが欠かせません。私たちは、被災された労働者の皆様が安心して治療に専念できるようサポートいたします。

※当事務所では労災申請マニュアルを作成していますので、労災申請の際の参考にしてください
労災申請マニュアル(弁護士法人ふくい総合法律事務所)